ウルトラ宇宙興亡史 |
昭和ウルトラマン・シリーズでは、ウルトラ一族を宇宙の一大勢力(地球は、さしずめ、その植民地?)と考えるならば、そこには、実際には、多数の権力抗争が存在していたものと思われます。このページでは、さまざまな裏設定なども参照にして、ウルトラ一族と対立してきた悪宇宙人たちの勢力興亡史みたいなものを、私なりに推察し、提示したいと思います。
まず、最初に思い浮かぶ、ウルトラマンの敵対宇宙人といたしましては、やはり、バルタン星人がいるのですが、実際には、バルタン星人は、広い宇宙の中では、さほどの権力は持ってなかったものと思われます。と言いますのも、そもそも、バルタン星人は、故郷の星を核爆発で失った哀れな流浪の民でして、たまたま、地球を第二の故郷にしようと襲った為に、ウルトラマンと紛争になったに過ぎなかったからです。襲われた「地球人」にしてみれば、バルタン星人は手強い外敵に見えたかもしれませんが、宇宙全体から見れば、地球人とバルタン星人の戦争なぞ、辺境の星で起きた小さな小競り合いの域を出ていなかった訳です。
続いて、宇宙各地の生物を滅ぼしているザラブ星人や、宇宙各地の生物の標本を集めているダダなどが、地球に飛来しますが、彼らが、一定の勢力を持っていたと言う噂は、何も聞きません。
本当の意味で、勢力者と思われるのは、次に出現したメフィラス星人でして、貫録面からも、彼が他の宇宙人をはるかに凌駕しているのが伺えました。しかも、彼の場合、メフィラス星全体で地球に攻めてきたと言うより、個人で地球を狙っていたような感があり、個人でも、それほどの実力があるのならば、メフィラス星国家そのものでは、そうとうな大国だったのかもしれません。(ただし、メフィラス星人自身の言葉によれば、メフィラス星内にも、ルールの概念があるようで、メフィラス星国家自体は、中立ないし平和国家だった可能性が考えられます)
「ウルトラセブン」の世界に突入しますと、戦国時代さながらに、沢山の宇宙人が覇権を巡って、争う事になりました。大量の宇宙人が、地球に攻めてきましたが、それは、「植民地」としての地球に非常に価値があったからであり、地球そのものが、一大勢力だった訳でも無かったように見受けられます。(ほとんどの宇宙人は、最初の攻略が失敗すると、そのまま撤退しています。自分たちが絶滅するまで、しつこく地球と戦い続けなくてはいけない理由は無かったからです)
ウルトラセブンは、第三者として、たまたま、地球に味方していたようですが、ウルトラマンやウルトラセブンの一連の報告?で、ウルトラ一族は、この「地球」と言う星を、自分たちの植民惑星にすることを正式に決定したようで、その後、新マン以降は、絶えず、自分たちの戦力(ウルトラ兄弟)を地球に配置して、外敵の侵入を阻止するように務めています。
ウルトラセブンの時代にも、強力兵器キングジョーを擁するペダン星人や、一度も負けた事が無いと自負するガッツ星人など、強豪宇宙人が何種か現われましたが、彼らが、当時、宇宙で、どの程度の勢力を持っていたのかは不明です。ピット星人、メトロン星人などの有名宇宙人が、実際には、どのくらいの覇権者だったのかも、謎のままです。
やがて、この宇宙での荒れすさむ侵略合戦も、いちおうの幕が閉じたらしく、地球にも、うるさい侵略者が、あまり攻めて来なくなります。この一時的な終戦において、ウルトラ一族が、ある程度の勝者側に居たであろう事は、うすうす、推測されるものであり、地球は、表面的には、ウルトラ一族の植民下に置かれます。我々地球人にとって、幸せだった事は、ウルトラ一族が、平和的・友好的であり、なおかつ、神に近い生物だった事で、植民地となっても、地球からは何も搾り取られる事はありませんでした。ウルトラ一族が地球に求めたものとは、この美しい星を永続させる事であり、いわば、彼らにとって、「地球」とは、存在そのものが希少価値のあるプレミア品だったのです。
ただし、侵略者に代わり、再び怪獣たちが復活し始め、地球の大地を汚し始めた事は、ウルトラ一族にとっては、かなり頭の痛い問題だったのでしょう。その対策として、新マン(帰ってきたウルトラマン)は、正式な地球警備員として、この星に派遣される事となったのです。
新マン着任時、穏やかだった宇宙情勢も、やがて、再び荒れ始める事となりました。「歴史は繰り返す」のは、宇宙でも同じ事なのです。はじめ、こそこそと地球に手を延ばし始めた侵略者たちも、やがては、ナックル星人やバット星人のように、堂々とウルトラ一族に楯突く者も現われ始めました。一方で、メイツ星人のような平和的な人種も地球に訪れてましたし、メシエ星雲人やミステラー星人のケースのように、当時、宇宙のあちこちで、侵略の小競り合いが再開した事を、間接的に告げている事件も発生しました。
それから、もっと大きな出来事が、我々の宇宙全体を激震させる事になりました。異次元にいたヤプールによる、こちらの宇宙への大侵攻です。強力なヤプールの前に、宇宙各地の両陣営は、大いに振り回され、身内同士の争いどころでは無くなったであろう事が、うっすらと推察されます。ウルトラ一族は、強大な敵に構える為に、組織だった警備隊であるウルトラ兄弟を結成し、疲労した新マンに代わって、新人のエースを地球に派遣。かってのウルトラ一族の対抗勢力の中には、アンチラ星人や宇宙仮面のように、ヤプールに征服されて、支配下に置かれた者もいましたが、メトロン星人のように、三つ巴の戦争に飛び込んで、漁夫の利を狙ってくる者も現われました。
その後、ウルトラ兄弟との全面戦争に敗れたヤプールは、絶滅だけはまぬがれて、残党が後の宇宙史にも顔を出す程度に、存在が留まりました。ただし、ヤプール撃退の功績で、よりウルトラ一族の名声と勢力圏が広がったのは間違いないはずでしょう。エースは、その後、しばらく、ヤプールの置き土産(地球に散った超獣たち)の後始末、いわゆる、残党狩りに従事する事になります。
ヤプール壊滅後、入れ違いに現われた、狡猾なヒッポリト星人が、ヤプールと何らかの関係があったのかどうかは分かりません。ただし、ヤプール全盛期は、無駄な労力を使わぬ為、わざと身を潜めていたのではないかと思われ、ヤプール退治後で、少し気も緩んでいたウルトラ兄弟につけこんだ、彼の戦略は、まさに巧妙だったと言えます。この時、初めて、ウルトラの父も地球に飛来しましたが、これは、ヤプール撃退後で、宇宙における<ウルトラの国>が、防衛の要(ウルトラの父)が居なくても安泰な状態になっていた事を、暗に示していたように感じられます。結局、ヒッポリト星人の突発的クーデターは失敗に終わり、彼はウルトラ宇宙史の中では、短い期間しか名前を残せない事となりました。
そして、タロウの時代がやって来ます。メフィラス星人やヤプールなどが、再興をかけて、また攻撃を仕掛けてきた一方、ついにテンペラー星人も動き出します。テンペラー星人は、かって、ウルトラの国へも攻め込んだ経歴がある、ウルトラ一族の反対勢力にとっては、重鎮のような存在です。恐らく、ウルトラ兄弟必殺光線の開発に成功したから、ようやく、自ら動き出したのだと思われますが、このテンペラー星人も、反対勢力の期待に応えれず、ついにウルトラ兄弟の前に屈服。通常宇宙においては、まさに、ウルトラ一族は向かうところ敵なしの状態になった訳です。
しかし、ウルトラ一族の管轄外の宇宙では、相も変らず、侵略戦争の小競り合いは続けられており、レオの故郷L77星がマグマ星人に滅ぼされるような悲劇も起こっていました。実は、面白い事に、レオ(L77星人)を始め、マグマ星人やバルキー星人など、この時期は、ウルトラ族とフォルムの似た宇宙人が、沢山、出没するようになり始めています。もしかすると、これらは、ウルトラ族とは近縁にあたる異星人であり、ウルトラ宇宙においても、ウルトラ族が、自分の同族ばかり、宇宙に残しておくような政策をとっていた痕跡だったのかもしれません。この時期の「悪い宇宙人」とは、外部の反対勢力ではなく、身内の反乱が主体だったと言う事です。
タロウの気まぐれ的引退から、侵略者対応に詳しいセブンが、急きょ、地球の防衛に戻される事になりましたが、マグマ星人の奇襲に持ちこたえれず、戦闘不能になってしまいました。その情報を嗅ぎ付けて、再び、ザコクラスの宇宙人が、わざわざ、地球に来て、暴れるようになってしまったのです。
レオのシリーズにおける、最大勢力を誇る宇宙人は、実は、ババルウ星人です。劇中には説明がありませんでしたが、裏設定では、彼女(女性なのです!)は暗黒宇宙の支配者だったのです。テンペラー星人失脚後、綿密な計画の上で、正常宇宙への侵攻とウルトラ一族の抹殺を目論んでいたものと思われ、その陰謀は、間一髪で、レオ兄弟に阻止されてしまいます。
続けて、ブラックスターが率いる円盤生物が地球に攻めてくるのですが、そのインパクトのある活動とは裏腹に、彼らが、大きな勢力圏を持っていたと言う話は、まるで聞きません。
それから、長い沈黙の後、80が地球にやって来る事になり、我々は、ウルトラ宇宙史の後日談を伺える事になりました。しかし、80の頃の宇宙は、おおむね平和だったようで、過去の宇宙人の反撃も、せいぜい、バルタン星人ぐらいなもので、他に、注目に値するのは、ガルタン大王に率いられるガラガラ星人程度。ガラガラ星人は、遊牧宇宙人で、あちこちの星で強奪を繰り返しながら、てんてんと宇宙を旅していたみたいです。身のほど知らずにも、ウルトラの星にまで手を延ばしてしまい、ウルトラ一族と紛争になったみたいです。テンペラー星人ほどの深い因縁は、ウルトラ一族とは無いようで、ガルタン大王と王子が戦死した彼らは、さんざんな状態で、ウルトラ一族からは手を引いたのではないかと思われます。
宇宙には、平和な時代が訪れようとしていました。地球人(UGM)は、怪獣マーゴドンを自分たちだけの力で倒し、今後の地球は、ウルトラ族の手を借りずに、地球人だけで守る事を声明。その言葉を受けて、80とユリアンも宇宙に帰りました。昭和のウルトラマン・シリーズは、ここで完全に終了しており、私も、その後のウルトラ宇宙には、永遠なる平和が到来したのだと信じる事にして、この興亡史の方もこれで閉じる事にしたいと思います。